先日デビューした新型Cクラス(W206/S206)では採用されなくなってしまったエアサス(エアマチック)、個人的にも「雰囲気」で避けていたわけですが、本当に故障しやすいのか、ちょっと真面目に考えてみたくなりました。
まず、Cクラス全体の販売台数を求めます。
んでは!
メルセデスベンツのエアサス(エアマチック)でよく言われるのは、以下のことですよね。
- とにかく壊れやすい
- もって5年程度(5年目以降は故障続出)
- 修理に数十万円かかる
私もこれらを真に受けているほどではないまでも、なんとなく流され、乗り換えるならC180かな~(趣味嗜好的にAMGラインを選ぶ率が高いので)って思っていたわけですが。
ふと、そんなんでいいのか?と自問し。
というのも、やはりこの手のことは「雰囲気」ではなくきちんと『数字』で把握すべきかなと、どうでもいいことを深掘りしたい性格の私は考えるわけで。
ある程度年数も経ってきたし(それこそ5年超えているのも多々あるし)、そこそこデータもありそうだなってことで、軽くまとめてみました。
- 国交省の不具合情報サイト・・・車名:メルセデスベンツ、受付日:2014年以降、装置名:緩衝装置・電気装置・電動機・その他 ※コンプレッサー等もあるので電気なども広めにチェックを入れました。
- みんカラ・・・Cクラス・Cクラスセダンの整備手帳で「エアサス 故障」とキーワード検索。 ※それ以外のキーワードは該当なしでした。
- 価格コム・・・Cクラス・Cクラスセダンの口コミで「エアサス 故障」とキーワード検索。Cクラス・Cクラスセダンのレビューで「故障」をページ検索 (Ctrl+F) で見つけて確認。 ※それ以外のキーワードは該当なしでした。
- グーネットピット・・・「Cクラス 故障 エアサス」「Cクラス 故障 エアマチック」とキーワード検索。 ※それ以外のキーワードは該当なしでした。
結果は以下の通りです。
- 国交省の不具合情報サイト・・・セダン:2件 ワゴン:0件
- みんカラ・・・セダン:1件 ワゴン:3件
- 価格コム・・・セダン:0件 ワゴン:1件
- グーネットピット・・・セダン:1件 ワゴン:1件
以上より、インターネット上で確認できたエアサス(エアマチック)の故障は、計9件であることが分かりました。
もしかしたら、この中にはダブっているものもあるかもしれませんが、大は小を兼ねる理論で重複は除かないことにします。
インターネット上に顕在する絶対数はこれで分かったので、続いては確率に行ってみたいと思います。
確率を求めるには、エアサス(エアマチック)搭載車について「故障した台数÷総販売台数」を計算すれば出ますので、まずは分母となる総販売台数を求めてみます。
まず、Cクラス全体の販売台数を求めます。
「外国メーカー車モデル別新車登録台数順位の推移:年度 2006年度~2020年度」より、2014~2020年度の累計販売台数は111,714台であることが分かりました。
ただこれはCクラス全体であり、クーペやカブリオレもあればメカサス(バネサス)のものも含まれています。
そこで、カーセンサーの掲載台数の割合を販売台数の構成比と仮定して、セダン・ワゴンのエアサス(エアマチック)搭載車を推計します。
先ほど調べたところ、セダンのエアサス(エアマチック)搭載車は全体の約35%、ワゴンは全体の約19%となりましたので、Cクラス全体の販売台数の内、計54%がエアサス(エアマチック)搭載車と推定されます。
というわけで、故障率の分母となるエアサス(エアマチック)搭載車の総販売台数は、約6万台(111,714台×54%)と推定できました。
ここで確率の計算をしたいところですが、分子となる故障件数は「全体の故障件数」であるべきであり、先ほどのインターネットで確認できた件数では足りません。
つまり、インターネットで確認できた顕在している件数だけでなく、その裏にある潜在的な件数も見積る必要があります。
考え方としては、『Cクラス(セダン・ワゴン)に乗っている人のどれくらいの割合の人がインターネットの書き込みを行うか(或いは業者さんの書き込みを許可するか)』ということになるかと。
ここでもついつい雰囲気で適当な割合を持ってきたくなりますが、そこはもう少し頑張って推測します。
ここでは、対象車種(W205とS205)における「みんカラ登録数÷対象販売台数」で、車に関してインターネットに書き込む人の割合を求めたいと思います。
(本当はtwitterのAPIなども使うべきなんでしょうけど、クエリをうまく組めなくて断念。。)
というわけで、ざっとみんカラ登録数(≒愛車紹介の台数と見做す)を調べると、W205は1,158台、S205は919台、合計で約2100台あることが分かりました。
先ほどの2014~2020年度のCクラス全体の累計販売台数とカーセンサーの構成比率から、W205とS205の総数は約10.2万台と推定できますので、W205/S205を所有している方の内、2%(50台に1台の割合)の方がみんカラを使っていると推定されます。
もちろん、みんカラに登録しても全く書き込まない方もいますが、少なくともみんカラに登録している時点で車に関してインターネットを能動的に使う可能性が相応にあると考えられますので、仮定上はこれをイコールとして考えていいのかなと。
以上より、インターネット上に書き込まれていないものは、書き込まれているものの50倍程度あると考えられますので、故障台数は先ほどの9件を50倍する必要があります。
つまり、インターネット上で確認できない潜在的なものも含めると、450台程度がエアサス(エアマチック)の故障を経験していると推定できます。
ようやく材料が揃いましたので、確率を求めてみましょう。
おさらいですが、エアサス(エアマチック)搭載車について、以下のことが推定されました
- 故障台数・・・450台
- 販売台数・・・6万台
以上を計算すると、Cクラス (W205/C205) におけるエアサス(エアマチック)の故障率は0.75%と計算できます。
Cクラス (W205/C205) のエアサス(エアマチック)搭載車で、現在カーセンサーに掲載されているのは805台、故障率は0.75%なので、理論上は6台程度が外れくじということですね。
というわけで、思ったよりも全然少ないですね!
世の中が如何にデータドリブンではなく、雰囲気ドリブンなのかが分かりますw(それに流されていた私が言うのもなんですがww)
ちなみに、Cクラス (W205/C205) におけるエアサス(エアマチック)の故障はサスペンション本体ではなく、エアを送り込むコンプレッサーの不具合によるものがほとんどだそうです。
なんでも水没するとアウトらしいのですが、これがまた左前輪より前側にあるらしく。。
なので、経年劣化というよりも、なんらかのきっかけでコンプレッサー付近に水が大量に侵入してしまったり、関連する電気系統の不具合からなるってことが多いようですね。
なお、エアサス用コンプレッサーの交換費用は15~20万円くらいのようです。
安くはないのですが、まあそれくらいならまだ何とかなる範囲・・・と思う私の感覚はおかしいかな??
そんなわけで、本当にどうでもいいことを3時間ほどかけて深堀りしてしまった土曜日でした。
(こんなに時間かけるつもりはなかったのですが、やってみたら楽しかったというw)
ちなみに、上記の数字は全て2021/7/3 11:00時点に取得したデータを基にしております。
また、仮定・推定・推測を組み合わせているため、あくまで参考程度の精度である点にご留意ください。
んでは!